「中国記」 (4) [旅行記]

江津からは、三江線。5本ある江津発の列車のうち、3本目にあたる15:08発三次行き429Dに乗車する。浜田鉄道部(米ハタ)所属の、キハ120-309が充当されていた。

江津発の時点で、乗客は合計10人。江津を出てカーブを曲がった後は、ただひたすら江の川に沿って進む。速度は基本的に30km/hで、トンネルなどの安全な場所 (?) で時々スピードを上げる程度だ。駅は粗末なホームしかない棒線駅ばかり。雑草に覆われた、廃止されたホームが残るところもある。対岸にややまともな道路があるのが見えるが、線路脇の道路は実に心細い悪道に見える。江津から4駅目、旧邑智郡桜江町の中心地にある川戸駅で3人下車して、小学生らしきが1人乗車。その人は、次の田津駅で降車した。7駅目の鹿賀駅でも1人下車し、乗客は6人になった。次の因原駅では、駅の隣に「三江線運輸」なる倉庫を発見。

江津から9駅目、川本町の中心地にある石見川本駅は、久しぶりに立派な設備のある駅で、列車交換可・有人駅だ。乗客の流動が最も多く―といっても1人下車・7人乗車だが―、計12人の乗客で出発した。次の木路原駅で1人下車。江津から15駅目の粕淵駅の手前で、三江線は初めて江の川を渡る。粕淵は美郷町の中心地にあり、有人駅だそうだ。ここで4人下車・1人乗車。そして16駅目の浜原駅に16:52着。ここまで50.1km、所要時間は1時間44分なので、表定速度は28.90km/h。浜原は交換可能だが無人駅のようだ。5分後に江津方面へ向かう430Dを見送る。

1人下車したようで、429Dは7人で浜原17:01発。運転士も交代。急カーブでは速度が落ちるものの、浜原から先の区間はこれまでとは走りが違う。口羽駅までは、1975年に開通した三江線では最も新しい区間で、規格が違うためだ。80km/hは出している。浜原からは一旦江の川から離れ支流沿いを沢谷駅へ向かい、長いトンネルで山を抜けて再び江の川沿いに出る。江の川の浜原ダムを迂回しているというわけだ。江の川に合流した先の潮駅で1人乗車。石見松原駅・石見都賀駅・宇都井駅で1人ずつ下車。これで乗客は5人に。このあたり、浜原までではなかった長いトンネルを多用し、また江の川を頻繁に渡っている。江津から23番目の口羽駅には17:39着。29.6kmを38分なので、表定速度は46.74km/h。時刻表上でも速さがわかる。

20100826_kiha120-309.JPG
口羽駅に停車中のキハ120-309。


口羽も交換可能ながら無人駅だった。浜原行き432Dと交換して、17:55発。ここから再び江津~浜原間のようなスローペースに戻ってしまった。カーブも多い。作木口駅を過ぎた場所で、島根・広島県境を渡る(口羽の手前でも渡っているが、ここからは完全に広島県)。次の香淀駅の前後では、久々に速度感がある。27番目の式敷駅も交換可能駅だが、対向列車はなし。時刻表を見ていて、31番目の長谷駅は通過することに途中で気付いたが、車内や駅でそれらしき案内は皆無だった。あっさり通過するが、雑草に覆われた、怪しい雰囲気さえする廃れた駅だった。三次市の市街地に入るころ江の川を渡り、尾関山駅。そして馬洗川を渡ると、起点から34番目の終点三次駅に到着。定刻通り18:51着。28.4kmを56分なので、表定速度は30.43km/h、遅さが際立つ。5人の乗客が降りた―そう、宇都井駅からまったく乗降がなかったのだ。

三江線は江津~浜原間と口羽~三次間が1日5往復、浜原~口羽間が1日4往復運転されている。429Dの折り返列車や交換列車をのぞいても、やはり乗客は数人。乗車した429Dは乗客は合計20人(全線を乗りとおした旅行客が5人)なので、需要がわずかなのがわかる。鉄道を走らせるまでもない需要に見えるが、三江線の各駅をつなぐルートでバスを走らせられるような道路は、一部区間以外はない(細道ばかりだ)。バス化が困難な路線なのは間違いない。

ちなみに、国鉄末期(1986年11月)の方が本数が多い。江津~浜原間は1日8往復(ほかに江津~石見川本間に1往復)、口羽~三次間は6往復だ。浜原~口羽間は現在と同じ4往復。所要時間は、江津~浜原間・口羽~三次では約10分現在の方が遅いが、逆に浜原~口羽間では現在の方が数分早い。

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